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おら、革ジャンが好きだ ! ④ のつづき.ライダースジャケット [ファッション]

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 【 革ジャンの宇宙に浮かぶもう1つの銀河 】

  革ジャンの世界はじつに広く、フライトジャケット、バイク用ライダー
スの他に、「ロック系・パンク系」 というか、「ロンジャン」 というか、「U
K系」 というか、そういった括りの領域がもう1つ存在しています。

  僕の場合、そちらの方面に関してはあまり詳しくなく、「666 」 とか
「ルイスレザー」 とか、そういったブランドの名前くらいしか分からな
いのですが、ココから先は、勉強しながら記事を書きすすめていきた
いと思います。

  そのため、その方面に詳しい方からすると、以下、理解や説明が
浅い部分もあるとは思いますが、どうかご容赦ください。
 

  まずは、ロック系ジャケットの話をする前提として、これらが誕生し
た頃のイギリスのおかれた時代背景について考えます。

  2つの世界大戦を経験し、ヨーロッパの国々は大変に疲弊し、経済
的にも大きなダメージを被りました。 

いわば、20世紀半ばに至って欧州は没落し、ついに世界史の主人
公の座から転落したとも言える状況なったということ。

  こうして、世界はアメリカの一人勝ちという状況になり、実際、ヨー
ロッパも含めて、戦後世界の再生はアメリカの経済力によってなされ
たといえます。

  その結果、ヨーロッパは、世界の中での 「文化の発信地」 であると
いうかつて担っていた役割も充分に果たせなくなり、その点において
もアメリカに取って代わられるようになっていきます。

  というコトで、戦後、世界中でアメリカ文化が幅を利かせるようにな
っていき、その傾向はその後ますます強まっていくことに。

  そして20世紀が終わる頃には、中央アジアからアフリカの奥地に至
るまで世界中の人々がリーバイスをはじめとするアメリカ製のジーンズ
を履き、足元はナイキやアディダスのスニーカーといういでたちになっ
ていきました。

  これは、アメリカの製品が世界を席捲しているというだけではなく、
「デニムのズボンにナイロン製の運動靴」 という、アメリカという地域
の服飾文化に支配されているということでもあります。

  この傾向は服飾文化に限らず、世界中の人々がマイケル・ジャクソ
ンを聴いてスターウォーズを鑑賞するという、現代芸術にあたる領域
においても当てはまるコト。

  以下で説明するように、イギリスで誕生する 「ロック系ライダースジ
ャケット」 というジャンルも、戦後の世界的アメリカナイゼーションという
大きな枠組みのうちの1つであると言えるでしょう。


【 ライダースジャケットの誕生と歴史 】

  革製のライダースジャケット(RJ)が誕生したのは、1920年代後半
のアメリカで、商品として一般的に流通するようになったのは、このあ
と説明するように1930年代初頭のコトです。

  革の利用についてそのルーツをたどれば、ネイティブアメリカンた
ちのレザー文化に行き着くと言われています。

  彼らは、自然=神の恵みを最大限に利用し、革製のマントや履物
の覆いとして用いていたそうです。

  開拓時代になると、皮革は馬具として広く利用されるようになり、や
がてモータリゼーションによって乗馬の習慣がなくなると、職人達はバ
イク産業に流れていきました。


  1920年代の末、A-2 をはじめ革製フライトジャケットの代表的な
タイプが誕生し、30年代になると米軍の航空部隊に安定して支給され
るようになっていきます。

  飛行機を操縦する際のジャケットがオートバイを運転する際の服装
として参考にされるのは当然の流れで、1928年には、ショット社がセン
ターファスナー式の RJ を開発します。

  1931年には、ハーレーダビッドソン(HD)が初の一般向けシングル
ライダース 「Leather Zipper Jacket」 を発表。 35年には 「Mortercyc
lists Sports Jackets」 が発表され、30年代を代表するRJ となりました。

  さらに39年には、HD がダブルの原型となるタイプを発表。

  40年代においても HD が RJ を牽引していきますが、バイク人口の
激\増に促され、この年代には Buco や Beck、Langlitz などの有名ブ
ランドが誕生します。

  50年代には、マーロン・ブランドの映画やプレスリーの登場によって
「バイク = RJ = 不良」 というイメージが定着し、その人気は上昇しつ
づけます。

  BATES LEATHER が誕生したのもこの年代で、60年代には全米
no.1 ブランドにまで成長しました。

  60年代末に至るまで、ジャケットを含めてバイク産業は順調に成長
をつづけ、69年には、映画 『イージーライダー』 が大ヒット。

  しかし、70年代になると一転、自動車の普及、オイルショック、アメリ
カ経済そのものの低迷によってバイク産業は暗黒の時代に入り、Buco
や Beck をはじめ、多くのレザーブランドが消滅。

 そういう中にあって、76年にバンソンが設立されたことは述べました。


 【 ルイスレザー 】

  ロック系の革ジャンを代表するブランドがルイスレザーです。 このブ
ランドについて、当時のイギリス文化の状況を交えて説明していきます。

  ルイスレザーは、もともと1897年にロンドンで紳士用品店として開業
された老舗で、1926年からは、航空産業の発展に促されてパイロット用
のレザーウエアの製作にも取り組むようになりました。

30年代になると、軍用バイクの乗り手に向けてレザーウエアを供給す
るようになり知名度を上げていきます。


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1950年代にはヨーロッパにおいてもバイク人口は膨れ上がり、特に
若者たちのあいだでは大流行するまでになっていました。

  そして53年、映画 『The Wild One (乱暴者)』 によって RJ の存在が
広く知られるようになると、英国の若者たちもそれを求めるようになりまし
たが、ルイスレザーはその機を逃しませんでした。


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  未だ RJ が存在していなかったイギリスで、米国人デザイナーを起用
することによってマーロン・ブランドが着用したのと同じダブルの RJ を製
造・販売。

  そのジャケットは、カフェレーサーと呼ばれる不良たちの間でたちまち
大人気となり、ロンドンの若者たちの絶大な支持を得ることに成功します。


  lewis-551t-blk.jpg
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  その後もルイスレザーは 「ロッカーズ」 というカルチャーが流行した時
期に次々と新しいタイプを提供しつづけ、やがてレース業界にまで進出、
ブランドとしての全盛期を迎えます。

  その間ルイスのジャケットを求めて、イギリスだけではなく広くヨーロッ
パ各地からファンがロンドンを訪れたといいます。


  lewis-59t-blk.jpg  


  しかし、70年代に入り 「ロッカーズ」 が自然消滅すると、それに伴いル
イスレザーも衰退の一途をたどることになります。

  やがてルイスレザーは身売りを繰り返すようになり、80年代半ば以降
は品質の著しい低下や生産の滞りが起こるようになり、80年代末から90
年代半ばに至るまで実質活動停止のような状態に陥りました。

  その後、90年代に起こったロッカーズ・リバイバルを背景に、日本の
UKブランド 「666 」 の強力な後押しによって、現在、ルイスレザーは復
活を果たしています。


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  ルイスレザーは中古品、ビンテージも多く出回っています。 価格は
6 ~ 7 万のものからあるようで、状態のいいモノは新品と同じくらいの
値段。

  かっこよくエイジングしているモノやレアものについては数10万する
モノもあるようで、上の図のモノは 43 万円。 たしかにカッコイイ。

  以前土屋アンナがTV番組で 60 万のルイスレザーを着ていたのを
覚えています。

  
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  lewis-59t-brn-1.jpg


  代表的なモデルは、いちばん上の写真 「サイクロン」 と2番目の
「ライトニング」 といわれるタイプですが、ほかにも多くのタイプがあり
ます。

  どのジャケットも、多くの色が用意されているのも特徴です。 いち
ばん下はブラウン。


  これらは、アメリカンライダースに源を発しながらも、それを英国の
感性で 「ヨーロピアン」 風にアレンジしたモノ。

  ライダースという面でいうと、アメリカンライダースは、ハーレーなど
の大型バイクによる本格的な高速ツーリングを想定し、強い風当たり
や転倒などからライダーの身を守る鎧としての役割をめざしています。

  それに対してUKライダースの方は、ライディングという面では小型
のバイクによる街乗りのみを想定し、それよりもスタイリングや雰囲気
を重視、あくまでも 「おしゃれ着」 としての方向を目指しているといえ
るでしょう。

 感覚的にいうと、アメリカンの 「無骨、頑丈、大雑把、ハード」 に対
して、UKは 「スリム、繊細、上品、着やすさ」 という感じなのだと思わ
れます。

  「不良っぽさ」 というのは両者に共通の要素ですが、やはり不良とし
てのタイプが異なっているのだと言えるでしょう。

  それでは、UKライダースを支持するのはどのような人たちであった
のかを理解するため、当時のイギリス文化、流行したライフスタイルに
ついてお話しします。


《 ロッカーズ 》

1950年代後半から60年代前半に、秩序や伝統を重んじるイギリス
文化へのカウンターカルチャーとして労働者層の若者のあいだで流行
したライフスタイル。

  このスタイルは、50年代アメリカの音楽やファッションをベースとし、
映画 『乱暴者』 のマーロン・ブランドやエルヴィス・プレスリーをはじめ
とするロックンロールに強く影響を受けています。

  彼らは、好きな音楽であるロックを聴き、好きなファッションである黒
の革ジャンと革パンあるいはジーンズで身を包み、髪をグリースで固め、
その姿で好きなバイクで街を乗りまわしました。

  自らの革ジャンに 「ROCKERS」 と白でペイントし、彼らの聖地であ
るロンドン 「ACE CAFE 」 という刺繍を入れ、金属のビョウをとり付け
るなどして装飾。

  所有する単気筒エンジンのバイクには外観やエンジンなどに改造を
ほどこすのが基本で、特にノートンのフレームにトライアンフのエンジン
を積むやり方が流行し、この仕様は 「トライトン」 と呼ばれました。

  このように、彼らはロッカー(ロックンローラー)であり、また、ロンドン
の 「エースカフェ」 にたむろし街道レースなどに興じる暴走族でもあり
ましたが、この点を捉えて 「カフェレーサー」 とも呼ばれました。

  「UKライダース」 「ロック系レザージャケット」 というジャンルは彼ら
によって生み出され、その後、ミュージシャンたちも取り込んで発展し
ていくコトになります。

  そして、ロッカーズと同じ時期に、もう1つ別のカルチャースタイルで
る 「モッズ」 が存在していたのですが、それについては次のページで。


 ④ のさらにつづき.ライダースジャケット のつづき
http://perfect-news.blog.so-net.ne.jp/2013-11-29-1




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