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いっこく堂と腹話術の歴史 [語学]

  いっこく堂という腹話術の名人がいる。 ちなみに 「いっこく堂」 と
いうのはチーム名である。

  腹話術師である 「いっこく」 が腹話術人形と合体したとき、いっこ
くから 「いっこうく堂」 にバージョンアップする。

  そういういう構造になっているらしい。

  往年のピーターにそっくりのいっこくさんは、本名を玉城一石 (たま
きいっこく)という。 つまり、いっこくというのは本名だったのである。


100610geijutu01.jpg


 生まれたのは神奈川県だが、物心つく前に沖縄県に移住し沖縄
市で育った。 現在、奥さんと高校生になる娘さんがいるという。

  え? 高校生? そんなに早く子供作っっちゃたの? さては元ヤ
ンキーか?

そう思って生年月日を調べたところ、1963年生まれとある。

  え? え? 63年?   ということは、もう50歳?

 そう、 いっこく堂さんは、じつは50歳だったのだ。 見たカンジは
10歳以上若く見えますよねぇ?

あれ? 僕だけ?

  現在の芸の原点は、高校生の頃に行っていたものまねにあるとい
う。 教師のものまね、草刈正雄、ルパン三世、スワヒリ語講座などを
体育館の舞台でよく演じていた。
 
  高校卒業後、ドラマ 『池中玄太80キロ』 の影響を受けて俳優を志し、
日本映画学校で学んだ。 その後86年、劇団民藝に俳優として入団。

 劇団の宴会の場で腹話術を披露したところ、周りから腹話術師への
道を勧められ、海外留学し修行を積んだ。


【 腹話術の歴史 】

  もともと腹話術は、古代において呪術や占いの一部として神秘的
な力をアピールするために用いられていた。

聖書にも腹話術のこととみられる記述がみられる。紀元前5世紀頃
のギリシャの聖職者エウリクレスはほとんど唇を動かさずに声を発す
ることができたとされている。

中世になって魔女狩りが行われるようになると、腹話術師たちも迫
害の対象となった。 この時代の腹話術師としてはケントの聖処女とし
て知られるエリザベス・バートンが挙げられる。

  1584年にイギリスのレジナルド・スコットは『妖術の開示』 を出版
した。 この本は魔女狩りによって無実の人が迫害されるのを阻止す
るための出版されたものでである。

 奇術の方法などが紹介されているが、その中に腹話術がトリックであ
ることも暴露されている。

 時代が進み、17世紀の頃になると徐々に腹話術は娯楽としても楽し


【 かんたん音声学解説 】

 表意文字である日本語においては、発音の際の口の動かし方に
ついてあまり気にすることはないが、表音文字である英語においては、
「発音記号」 によって発音の際の唇や舌の動かし方が厳密に規定さ
れている。

 よって、英語を専門的に学ぶ場合には日本人にはなじみのない
「音声学」 が必修教科となっている。

この音声学を大まかに理解すると、いっこく堂の技術について比較
的理解が容易になる。

  音声学の第一歩は、①.音の出し方、つまり発音の際に唇や舌をど
のように動かして空気を発するか(調音法)と、②.その発音が口のど
の部分で起こっているか(調音点)を理解することである。



20130424134320.jpg

eigo_tu.gif


  上の表を見てみると、調音法について破裂音(閉鎖音)、摩擦音、
鼻音というのがある。

 たとえば「パピプペポ」 が唇による破裂音だというのはなんとなく
理解できると思う。 m と n が鼻音だというのもなんとなくわかると
思う。

 しかし、摩擦音、側音、半母音というのはわかりにくい。 よって英
文科の学生であればこの辺については暗記するしかない。

 みなさんはもちろん暗記する必要はありません。 ただ、言葉を話
すということについて、このようにワザワザ分析して理解するという
考え方があるということを知ってほしい。

  もう少し続けると、例えば「ラ」 と発音するときに自分の舌がどう動
いているかを意識してほしい。 このとき舌は、口の内部の上側、前歯
のウラ側の硬い部分、① 図の硬口蓋(Hard Palate)に接していること
が分かるであろう。その部分を という。

  それに対して 「ナ」 と発音する際には、「ラ」 の時よりも口の内部の
上側の少し奥の部分に接している。 その部分は硬口蓋よりも少し柔ら
かいことが分かるであろう。 その部分を 軟口蓋(Soft Palate) という。

  ちなみに、日本人にはちょっとわかりにくい「L」 と 「R」 の発音の
違いだが、じつはこれも調音点を意識すると簡単になる。

  つまり、「L」 のときは舌を Hard Palate に接触させて発音するのに
対して、「R」 のときは舌を Hard Palate に完全にくっつけないで少し
間をあけて発音する。


  
 ・・・・・・ いっこく堂の話に戻ります。

 いっこく堂の腹話術にはいくつものスゴイ点があるが、まず1つは、
腹話術において腹話術師の口は動かないというという印象があるが、
じっさいは多少動いている。

 しかし、いっこく堂は口が全く動かない。

  2つ目。 通常、腹話術では「パピプペポ」 の発音は不可能とされ
ており、腹話術の教科書にもそう記されている。

 しかし、いっこく堂は「パピプペポ」 の発音も難なくやってのける。
これができる腹話術師は世界にもごくわずかしかしか存在しない。

  さらに、いっこく堂オリジナルのワザとして時間差トーク、腹話術
でのモノマネなどがある。 また、英語も堪能で、英語による腹話術
も披露する。

 特徴として、腹話術でしゃべっているときは鼻から声をだしている。


 「パピプペポ」 はナゼ腹話術で発音できないのか?

  上でも話したように、「パピプペポ」 は唇による破裂音である。 と
いうことは、唇を動かさずに発音できるわけがない。

  だが、いっこく堂は舌とAiveoler Ridge を接着させることで口の
中にもう一つの唇をつくり、それを破裂させることで 「パピプペポ」
の発音をしているそうである。 

 それでも、この時の声の出し方と破裂のさせ方はとても難しいらし
く、「パピプペポ」 の発音ができるまで4, 5年の練習が必要だった
という。

  口は動かないという建前ではあるが、実際は多少口が動いてし
まうというのが従来の腹話術であった。 それに対して、いっこく堂の
場合は本当に全く口が動かないという特徴がある。

  さらに従来、腹話術の教科書には「パピプペポ」 の発音は不可
能であると記してあるところ、いっこく堂はそれらの破裂音も難なく
発することが出来る数少ない腹話術師である。


  ところで、上で説明した調音点に注目すると、「両唇」、つまり唇部
分で音を出す場合は他の点と比べて特殊である。 なぜならこの場
合のみ、舌を動かさずに唇のみで発音できるからである。

  「両唇」以外の調音点の場合、その部分に舌を動かすことによって
音を発する。

  母がママで父がパパなのはおそらくこの理由によると思われる。

 母と父は赤ちゃんにとっていちばん必要なコトバである。 なので、
いちばん容易な発音をそれに当てているというコトだ。

  さらに、もう1つ赤ちゃんにとってどうしても必要なコトバは食べ物
の要求である。 だから食べ物についても 「マンマ」 という発音をあ
てはめたのであろう。

 ちなみに、「ババ」 も唇のみで発音できる。 「ババ」 は、お婆さんと
いう以外にも赤ちゃんの 「便」 という意味もあったと思う。

以上、「目からウロコ」 という話でした。

  最後に、いっこく堂さんの進化し続けるウルトラパフォーマンスの
動画です。



















































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いっこく堂と腹話術の歴史 或いは お母さんがママでお父さんがパパである理由 [語学]

  いっこく堂という腹話術の名人がいる。 ちなみに 「いっこく堂」 と
いうのはチーム名である。

  腹話術師である 「いっこく」 が腹話術人形と合体したとき、いっこ
くから 「いっこうく堂」 にバージョンアップする。

  そういういう構造になっているらしい。

  往年のピーターにそっくりのいっこくさんは、本名を玉城一石 (たま
きいっこく)という。 つまり、いっこくというのは本名だったのである。


100610geijutu01.jpg


 生まれたのは神奈川県だが、物心つく前に沖縄県に移住し沖縄
市で育った。 現在、奥さんと高校生になる娘さんがいるという。

  え? 高校生? そんなに早く子供作っっちゃたの? さては元ヤ
ンキーか?

そう思って生年月日を調べたところ、1963年生まれとある。

  え? え? 63年?   ということは、もう50歳?

 そう、 いっこく堂さんは、じつは50歳だったのだ。 見たカンジは
10歳以上若く見えますよねぇ?

あれ? 僕だけ?

  現在の芸の原点は、高校生の頃に行っていたものまねにあるとい
う。 教師のものまね、草刈正雄、ルパン三世、スワヒリ語講座などを
体育館の舞台でよく演じていた。
 
  高校卒業後、ドラマ 『池中玄太80キロ』 の影響を受けて俳優を志し、
日本映画学校で学んだ。 その後86年、劇団民藝に俳優として入団。

 劇団の宴会の場で腹話術を披露したところ、周りから腹話術師への
道を勧められ、海外留学し修行を積んだ。


【 腹話術の歴史 】

  もともと腹話術は、古代において呪術や占いの一部として神秘的
な力をアピールするために用いられていた。

聖書にも腹話術のこととみられる記述がみられる。紀元前5世紀頃
のギリシャの聖職者エウリクレスはほとんど唇を動かさずに声を発す
ることができたとされている。

中世になって魔女狩りが行われるようになると、腹話術師たちも迫
害の対象となった。 この時代の腹話術師としてはケントの聖処女とし
て知られるエリザベス・バートンが挙げられる。

  1584年にイギリスのレジナルド・スコットは『妖術の開示』 を出版
した。 この本は魔女狩りによって無実の人が迫害されるのを阻止す
るための出版されたものでである。

 奇術の方法などが紹介されているが、その中に腹話術がトリックであ
ることも暴露されている。

 時代が進み、17世紀の頃になると徐々に腹話術は娯楽としても楽し


【 かんたん音声学解説 】

 表意文字である日本語においては、発音の際の口の動かし方に
ついてあまり気にすることはないが、表音文字である英語においては、
「発音記号」 によって発音の際の唇や舌の動かし方が厳密に規定さ
れている。

 よって、英語を専門的に学ぶ場合には日本人にはなじみのない
「音声学」 が必修教科となっている。

この音声学を大まかに理解すると、いっこく堂の技術について比較
的理解が容易になる。

  音声学の第一歩は、①.音の出し方、つまり発音の際に唇や舌をど
のように動かして空気を発するか(調音法)と、②.その発音が口のど
の部分で起こっているか(調音点)を理解することである。



20130424134320.jpg

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  上の表を見てみると、調音法について破裂音(閉鎖音)、摩擦音、
鼻音というのがある。

 たとえば「パピプペポ」 が唇による破裂音だというのはなんとなく
理解できると思う。 m と n が鼻音だというのもなんとなくわかると
思う。

 しかし、摩擦音、側音、半母音というのはわかりにくい。 よって英
文科の学生であればこの辺については暗記するしかない。

 みなさんはもちろん暗記する必要はありません。 ただ、言葉を話
すということについて、このようにワザワザ分析して理解するという
考え方があるということを知ってほしい。

  もう少し続けると、例えば「ラ」 と発音するときに自分の舌がどう動
いているかを意識してほしい。 このとき舌は、口の内部の上側、前歯
のウラ側の硬い部分、① 図の硬口蓋(Hard Palate)に接していること
が分かるであろう。その部分を という。

  それに対して 「ナ」 と発音する際には、「ラ」 の時よりも口の内部の
上側の少し奥の部分に接している。 その部分は硬口蓋よりも少し柔ら
かいことが分かるであろう。 その部分を 軟口蓋(Soft Palate) という。

  ちなみに、日本人にはちょっとわかりにくい「L」 と 「R」 の発音の
違いだが、じつはこれも調音点を意識すると簡単になる。

  つまり、「L」 のときは舌を Hard Palate に接触させて発音するのに
対して、「R」 のときは舌を Hard Palate に完全にくっつけないで少し
間をあけて発音する。


  
 ・・・・・・ いっこく堂の話に戻ります。

 いっこく堂の腹話術にはいくつものスゴイ点があるが、まず1つは、
腹話術において腹話術師の口は動かないというという印象があるが、
じっさいは多少動いている。

 しかし、いっこく堂は口が全く動かない。

  2つ目。 通常、腹話術では「パピプペポ」 の発音は不可能とされ
ており、腹話術の教科書にもそう記されている。

 しかし、いっこく堂は「パピプペポ」 の発音も難なくやってのける。
これができる腹話術師は世界にもごくわずかしかしか存在しない。

  さらに、いっこく堂オリジナルのワザとして時間差トーク、腹話術
でのモノマネなどがある。 また、英語も堪能で、英語による腹話術
も披露する。

 特徴として、腹話術でしゃべっているときは鼻から声をだしている。


 「パピプペポ」 はナゼ腹話術で発音できないのか?

  上でも話したように、「パピプペポ」 は唇による破裂音である。 と
いうことは、唇を動かさずに発音できるわけがない。

  だが、いっこく堂は舌とAiveoler Ridge を接着させることで口の
中にもう一つの唇をつくり、それを破裂させることで 「パピプペポ」
の発音をしているそうである。 

 それでも、この時の声の出し方と破裂のさせ方はとても難しいらし
く、「パピプペポ」 の発音ができるまで4, 5年の練習が必要だった
という。

  口は動かないという建前ではあるが、実際は多少口が動いてし
まうというのが従来の腹話術であった。 それに対して、いっこく堂の
場合は本当に全く口が動かないという特徴がある。

  さらに従来、腹話術の教科書には「パピプペポ」 の発音は不可
能であると記してあるところ、いっこく堂はそれらの破裂音も難なく
発することが出来る数少ない腹話術師である。


  ところで、上で説明した調音点に注目すると、「両唇」、つまり唇部
分で音を出す場合は他の点と比べて特殊である。 なぜならこの場
合のみ、舌を動かさずに唇のみで発音できるからである。

  「両唇」以外の調音点の場合、その部分に舌を動かすことによって
音を発する。

  母がママで父がパパなのはおそらくこの理由によると思われる。

 母と父は赤ちゃんにとっていちばん必要なコトバである。 なので、
いちばん容易な発音をそれに当てているというコトだ。

  さらに、もう1つ赤ちゃんにとってどうしても必要なコトバは食べ物
の要求である。 だから食べ物についても 「マンマ」 という発音をあ
てはめたのであろう。

 ちなみに、「ババ」 も唇のみで発音できる。 「ババ」 は、お婆さんと
いう以外にも赤ちゃんの 「便」 という意味もあったと思う。

以上、「目からウロコ」 という話でした。

  最後に、いっこく堂さんの進化し続けるウルトラパフォーマンスの
動画です。





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