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もっともわかりやすい西洋哲学史 ! ①.ソクラテス以前の哲学 [哲学・思想]

哲学とはなにか?

  この大きな問いに対して、できるだけわかりやすく答えを示し
ていこうというのがこの記事の目的です。


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  古今東西、哲学にはイロイロなものがあります。 仏教哲学
や、孔子に始まる古代中国の儒教系の哲学など。

  それらを一気に説明するのはムリなので、ここではとりあえ
ず、いちばん哲学っぽい西洋哲学についてお話を進めていこ
うと思っています。

  確かに、日常生活の中で哲学は必要ありませんし、哲学な
ど知らなくても充分に生きていくことができます。

  ただ、哲学の内容を知ると、世の中の非常に多くの事柄が
哲学という基礎の上に成り立っているというコトに気づくのも
事実です。

その哲学をできるだけかんたんに説明しようと思うのです
が、じつは西洋哲学には1つの特徴があるため、短くまとめ
てしまうような説明は適切ではありません。 

  ナゼかといえば、哲学というのは 「過去の哲学の成果につ
いての解釈とそれに対する批判」 というカタチをとって展開し
てきたからです。

  例えばある哲学者が自分の哲学を語っていこうとする場合、
まず、それまでの哲学者の説を自分なりに理解し、その上で、
そこから自説を展開していくカタチをとることが多いのです。

  よって、西洋哲学の場合約2500年ほどの歴史がありますが、
「西洋哲学を理解すること=西洋哲学史を理解すること」 という
ことになってしまうのです。

  つまり、例えば19世紀の哲学をいきなり理解しようとしても
それは不可能だということです。

ホワイトヘッドという哲学者は 「西洋哲学の歴史は、すべて
プラトンの注釈である」 というふうに言っていますし、また戦後
のジャック・デリダという哲学者も同様のことを言っています。

  このコトが余計に哲学をとっつきにくくしている部分があると
思います。

  しかし、哲学というのはそんなに堅苦しいものではなく、けっ
こう面白い部分もあるので、そういったところをできるだけわか
りやすくお話していこうと思います。

  ぜひ、おつきあいください !


《 ソクラテス以前の哲学 》

  それでは、ここからは具体的に西洋哲学の歴史についてお
話ししていきます。

  はじめにイオニア学派(ミレトス学派)について。

  これは、紀元前6世紀~5世紀頃にかけて、イオニア地方のミ
レトスを中心にして起こった自然哲学です。


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 イオニア学派とソクラテスに始まる古代ギリシア哲学には大き
な違いがあります。

  イオニアの学者たちが考察や研究のテーマとしたのは 「万物
の根源は何か?」 という、自然界についての事柄。

  それに対して、ソクラテスらのギリシア哲学者たちがテーマと
したのは 「人間の内面について」 です。

  これについては後ほど説明しますが、重要なことなので先に
書いておきます。

  さて、イオニア学派とは、タレス(紀元前624~546)を開祖とし
て、そのあとに アナクシマンドロス、アナクシメネス、ヘラクレイト
ス、アナクサゴラス、デモクリトス といった学者が続いていく、主
に物質的な面からこの世界について考えた人たちの学派です。

  イオニア地方は当時、交通や貿易の要所であり、東方と西方
の接点でもありました。

  そのため、各地からさまざまな知識や文化が流れ込み、その
ことがこの学派を生み出す原動力となったのだと思われます。

彼らのメインテーマは、「この世界がどのように成り立っている
のか」 を考えること、具体的には 「万物のアルケー(根源)とそ
のふるまい方」 を解き明かすことでした。

  現在ではそれは一応解明され、「アルケー=118種類の元素
とそれらの化学反応」 によってこの世が成り立っているとされて
います。

もっと言えば、原子の構造とかクォークとかそういう話になって
きますが、ココでは省略します。

  タレスは、この世のアルケーは 「水」 であると考え、存在する
全てのモノはそこから生成し、それへと帰還すると考えたようです。

  タレスは 「最初の哲学者」 とも言われますが、それは、それま
では神話的に説明・解釈されていた「世界の起源・根本」について
はじめて合理的な説明を試みたという点にあります。

  その後、アナクシマンドロスは万物のアルケーを、ちょっとわか
りづらいですが 「無限なもの(アペイロン)」 であると考え、その弟
子のアナクシメネスは 「空気」 であるとしました。

  さらにヘラクレイトスは、「万物はつねに流転し、絶えず変化し
ている」 と考えました。

  しかしその背後にあって唯一変化しないもの(=ロゴス)があり、
それが 「火」 であるとしました。 

そして万物のアルケーは 「火」 であり、水やその他のモノは火
から生ずると考えます。

  そのあとのアナクサゴラスになると、こういった理論が少し深ま
りをみせています。

  万物は無限に小さい構成要素(=スペルマタ、種)に分解するこ
とができ、それらはこの世の始まりから存在していた。

  やがてそれらが 「ヌース(理性)」 の働きによって分別整理され
現在の秩序ある世界ができあがった。
 
  その弟子であるデモクリトスは、この世界は不生・不滅・無性質・
分割不可能な物質単位である無数の 「原子」 からなっていて、そ
れら原子は 絶えず運動している。

  その存在と運動の起こる場所が、無限の 「空虚」 である。

  この世界で起こるいかなることも偶然によっては起こりえない。

  と説きました。


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  一方、同じ頃、南イタリアのエレア地方にはパルメニデスを開祖
とする 「エレア学派」 が存在していました。 この学派には、ゼノン、
メリッソス、クセノパネスらがいます。

  エレア派の主な教説は、すべての存在を第一物質(アルケー)に
よって説明しようとする自然哲学者たちの態度そのものへの批判か
ら成り立っています。

  エレア派は事物の真の説明は 「存在の普遍的な統一性を解き
明かすこと」 にこそあると主張し、その際注意すべきこととして、惑
わされやすい 「感覚」 に頼るべきではなく、「理性」 をこそ重視すべ
きであるとしました。

  ゼノンは 「ゼノンのパラドックス」 で有名です。 ゼノンのパラドッ
クスは 4 つあるのですが、その中でいちばん有名な 「アキレスと亀」
は以下のとおりです。

  あるとき、アキレスと亀が徒競走をすることになった。 しかしアキ
レスの方が足が速いのは明らかなので亀がハンディキャップをもら
って、いくらか進んだ地点(地点A)からスタートすることとなった。

スタート後、アキレスが地点Aに達した時には、亀はアキレスが
そこに達するまでの時間分だけ先に進んでいる(地点B)。

  アキレスが次に地点Bに達したときには、亀はまたその時間分
だけ先へ進んでいる(地点C)。

同様にアキレスが地点Cに着いたときには、亀はさらにその先に
いることになる。 この考えはいくらでも続けることができ、その結果、
いつまでたってもアキレスは亀に追いつけないということになる。



  さて、さらに同じ頃、南イタリアのロクリスというという場所に本拠
を置いた 「ピュタゴラス教団」 がありました。

  数学者として有名なピュタゴラス(紀元前582~496)を開祖とす
るこの教団は、財産を共有にして集団生活をするなど一種の宗教
結社に近い存在でした。


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  その中心的な思想は、魂を浄化して神の不死に与る、あるい
は神と合体するという神秘主義的なものだったと言われています。

  彼らは、この世界は 「数」 によって成り立っている、世界のア
ルケーは「数」であると考えました。

  そして、数学に含まれる規則性や調和といったものに神秘性
を感じ、宗教的な修行の一環として数学や音楽を研究しました。

  ピュタゴラス教団は世界最古の数学研究センターであり、素数
の発見、奇数・偶数の区別、正多面体の作図など初等幾何学の
定理のほとんどがここで発見されています。

 音楽というのも非常に数学的で、音楽の、一定の決まった間隔
で音階が上がっていくという秩序正しさに神秘性を感じたようです。

  いちばん数学的な音楽はバッハの音楽だといわれています。


 
  さて、ソクラテス以前の時代には以上のような哲学諸派があって、
これらはギリシア哲学の3人の真打(しんうち)、ソクラテス-プラトン
-アリストテレス によってまとめあげられていくことになります。

  上で言ったとおり、ソクラテスらは人間がはじめてその内面に目
を向けたということで、哲学史上とても重要視されています。

  しかし、それ以前のイオニア学派を中心とする人たちの自然哲学
も、それはそれで非常に重要であるとは言えると思います。

  ソクラテスらの哲学については ② でお話ししていきます。


 ②.ソクラテス. プラトン
http://perfect-news.blog.so-net.ne.jp/2014-01-07

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