「天空の城ラピュタ」 を楽しむための参考書 [アニメ]
天空の城ラピュタについて必要十分な知識を確認したい方、また、こ
れからあらためてラピュタを見直そうと思っている方は、この記事をご覧
ください。 ラピュタを鑑賞するときにワキに置いておきたい参考書です。
「天空の城ラピュタ」 は1986年8月に公開された作品で、 宮崎作品
の中では、「風の谷のナウシカ」 「ルパン三カリオストロの城」 「もののけ
姫」 という大作の系譜に連なる作品である。
【 ガリバー旅行記のオリジナルラピュタ 】
まず、ラピュタには元ネタにあたる物語が存在するということを確認し
ておこう。
本家本元のラピュタは、ジョナサン・スウィフトの 『ガリヴァー旅行記』
に登場する 「空飛ぶ島ラピュタ」 からきている。 刊行は1726年の英国。
スウィフトは英国の国会議員でもある。
『ガリヴァー旅行記』 は、スウィフトが医師で旅行家でもあるガリヴァー
の筆を装い書いた空想の旅行記で、そのストーリーは全体として当時の
イギリス社会に対する風刺・批判となっている。
ガリヴァーは4度の旅行に趣いて、それぞれが物語になっている。 そ
れが 小人の国、巨人の国、天空島ラピュタ、ヤフーの国 の4ヶ国である。
天空島ラピュタ はガリバー3度目の旅行先で、空に浮かぶ都市であり、
日本のはるか東に位置するバルビー二国の上空に浮かんでいる。
もしも自らの指令に背けば、その国土の上空に留まりつづけることで太
陽光や雨が地上に降り注ぐのを遮るという方法でバルビー二国を支配して
いる。
空に浮かぶ原理は、この都市の基底部に存在する巨大な磁石と、地上
のバルビー二国に豊富に存在する豊かな磁鉄鋼との反発力によっている。
この都市の住民は全員が数学者であり、その緻密な計算にしたがって巨
大磁石を上下左右に動かすことにより都市は自由自在に移動する。
【 内 容 】
一方で 『天空の城ラピュタ』 の設定では、古代ラピュタ人が 「飛行石」 を
用いて建造したとされる空中都市ラピュタ。 ラピュタ人はのちにこの都市を
捨てて地上に降りたが、その後もラピュタは飛行石の力で空に留まり回遊し
つづけている。
ラピュタ人は、ラピュタに再び人が近づくことの無いよう 「竜の巣」 と呼
ばれる巨大な低気圧の渦を作り進入する事を困難にした。 王家の証であ
る飛行石の首飾りを持つ者が望んで近づくと竜の巣は消滅し、ラピュタは
白日の下にその姿を現す。
ラピュタ下部の黒い半球状の構造体の中には、王族のみが入れると言
う中枢部が存在する。 中枢部には飛行石の巨大な結晶体があり、その部
屋には「黒い石」と呼ばれる石版が置かれ、そこに飛行石の首飾りを翳す
事でラピュタの各機能を制御できる。
球体部分の底部からは七基の石柱が展開し、エネルギーを集束して撃
つ巨大な爆発を生む光弾を放つことができる。 ムスカはこれを「ラピュタの
雷(いかずち)」と称し、これこそが 『旧約聖書』 のソドムとゴモラを焼き払っ
たという 「天の火」 やラーマヤーナの 「インドラの矢」 だとも述べている。
ラピュタに配備されていたロボットの1体が機能停止状態で天空から落
下してきた事が、政府がラピュタの調査を行うきっかけになった。
ラピュタの遺跡に残る財宝と飛行石の持つ力を求めて、海賊ドーラ一家、
政府と軍が空中都市ラピュタを探索している。
一方、ラピュタ王家の末裔であって飛行石を持つ少女シータがおり、政
府と海賊はラピュタと飛行石の秘密を握るシータのことも探している。
空から降りてきた少女シータと出合った少年パズー。 シータに事情を
打ち明けられたパズーは彼女の身を守ることを決意する。 2人は政府と
海賊の追っ手から逃れつづけたが、ついにシータは政府のムスカに捕ら
えられてしまう。
窮地に陥ったパズーは、もともとは仇であった海賊の女ボス、ドーラの
ところへ相談に赴くことに。
伝説の空中都市ラピュタの財宝と飛行石が目当てである彼女らとパズ
ーは、その鍵となるシータを取り戻すことで利益が一致し、政府によって
幽閉されていたシータを奪い返すことに成功する。
シータとパズーの2人は、ラピュタに赴く手段として海賊の船に乗せて
もらうことになるが、やがて探索をつづける一行の前に竜の巣におおわ
れた空中都市ラピュタがその姿を現した。
一方、政府特務機関の指揮官であったムスカは、実はラピュタ王家の
血を引く人物。 シータを奪われたムスカは、海賊よりも一足先に単身ラピ
ュタに上陸していた。
ラピュタの中枢部に侵入したムスカは、シータとともに帝国の復活を図ろ
うと企てるのだが ・・・・・・
さてラストは、パズーとシータの 「滅びの呪文」 により上層部の内大樹
に支えられた部分と巨大飛行石を残して崩壊したラピュタは、さらに高い
空へと飛び去って行った。
テレビ放映後、エンディングを見た子供たちから 「大気の無い宇宙でキツ
ネリス達はどうなるのか?」 という疑問が寄せられたが、ラピュタは宇宙空
間までは上昇しておらず、空気のある高度(成層圏)で飛び続けていると説
明された。
(※) 物語の舞台は「立憲君主国。 国王は登場しない」 とされており、後に
宮崎は舞台をイギリスのつもりで設定したと語っている。 実際、制作がはじま
る前の85年に宮崎は英国ウェールズをロケハンで訪れており、そこで見た風
景が作品に活かされている。
年代は劇中で明示されていないが、パズーの父親が撮ったラピュタの写真
には「1867.7」 と作品世界の暦による年代らしき数字が印字されている。
ちなみに小説版のエピローグでは、ラピュタでの一件のあと、パズーとシー
タは別々に暮らし、2人は文通をする仲になっている。
宮崎駿史 & 宮崎駿論 はこちら
http://perfect-news.blog.so-net.ne.jp/2013-09-20
れからあらためてラピュタを見直そうと思っている方は、この記事をご覧
ください。 ラピュタを鑑賞するときにワキに置いておきたい参考書です。
「天空の城ラピュタ」 は1986年8月に公開された作品で、 宮崎作品
の中では、「風の谷のナウシカ」 「ルパン三カリオストロの城」 「もののけ
姫」 という大作の系譜に連なる作品である。
【 ガリバー旅行記のオリジナルラピュタ 】
まず、ラピュタには元ネタにあたる物語が存在するということを確認し
ておこう。
本家本元のラピュタは、ジョナサン・スウィフトの 『ガリヴァー旅行記』
に登場する 「空飛ぶ島ラピュタ」 からきている。 刊行は1726年の英国。
スウィフトは英国の国会議員でもある。
『ガリヴァー旅行記』 は、スウィフトが医師で旅行家でもあるガリヴァー
の筆を装い書いた空想の旅行記で、そのストーリーは全体として当時の
イギリス社会に対する風刺・批判となっている。
ガリヴァーは4度の旅行に趣いて、それぞれが物語になっている。 そ
れが 小人の国、巨人の国、天空島ラピュタ、ヤフーの国 の4ヶ国である。
天空島ラピュタ はガリバー3度目の旅行先で、空に浮かぶ都市であり、
日本のはるか東に位置するバルビー二国の上空に浮かんでいる。
もしも自らの指令に背けば、その国土の上空に留まりつづけることで太
陽光や雨が地上に降り注ぐのを遮るという方法でバルビー二国を支配して
いる。
空に浮かぶ原理は、この都市の基底部に存在する巨大な磁石と、地上
のバルビー二国に豊富に存在する豊かな磁鉄鋼との反発力によっている。
この都市の住民は全員が数学者であり、その緻密な計算にしたがって巨
大磁石を上下左右に動かすことにより都市は自由自在に移動する。
【 内 容 】
一方で 『天空の城ラピュタ』 の設定では、古代ラピュタ人が 「飛行石」 を
用いて建造したとされる空中都市ラピュタ。 ラピュタ人はのちにこの都市を
捨てて地上に降りたが、その後もラピュタは飛行石の力で空に留まり回遊し
つづけている。
ラピュタ人は、ラピュタに再び人が近づくことの無いよう 「竜の巣」 と呼
ばれる巨大な低気圧の渦を作り進入する事を困難にした。 王家の証であ
る飛行石の首飾りを持つ者が望んで近づくと竜の巣は消滅し、ラピュタは
白日の下にその姿を現す。
ラピュタ下部の黒い半球状の構造体の中には、王族のみが入れると言
う中枢部が存在する。 中枢部には飛行石の巨大な結晶体があり、その部
屋には「黒い石」と呼ばれる石版が置かれ、そこに飛行石の首飾りを翳す
事でラピュタの各機能を制御できる。
球体部分の底部からは七基の石柱が展開し、エネルギーを集束して撃
つ巨大な爆発を生む光弾を放つことができる。 ムスカはこれを「ラピュタの
雷(いかずち)」と称し、これこそが 『旧約聖書』 のソドムとゴモラを焼き払っ
たという 「天の火」 やラーマヤーナの 「インドラの矢」 だとも述べている。
ラピュタに配備されていたロボットの1体が機能停止状態で天空から落
下してきた事が、政府がラピュタの調査を行うきっかけになった。
ラピュタの遺跡に残る財宝と飛行石の持つ力を求めて、海賊ドーラ一家、
政府と軍が空中都市ラピュタを探索している。
一方、ラピュタ王家の末裔であって飛行石を持つ少女シータがおり、政
府と海賊はラピュタと飛行石の秘密を握るシータのことも探している。
空から降りてきた少女シータと出合った少年パズー。 シータに事情を
打ち明けられたパズーは彼女の身を守ることを決意する。 2人は政府と
海賊の追っ手から逃れつづけたが、ついにシータは政府のムスカに捕ら
えられてしまう。
窮地に陥ったパズーは、もともとは仇であった海賊の女ボス、ドーラの
ところへ相談に赴くことに。
伝説の空中都市ラピュタの財宝と飛行石が目当てである彼女らとパズ
ーは、その鍵となるシータを取り戻すことで利益が一致し、政府によって
幽閉されていたシータを奪い返すことに成功する。
シータとパズーの2人は、ラピュタに赴く手段として海賊の船に乗せて
もらうことになるが、やがて探索をつづける一行の前に竜の巣におおわ
れた空中都市ラピュタがその姿を現した。
一方、政府特務機関の指揮官であったムスカは、実はラピュタ王家の
血を引く人物。 シータを奪われたムスカは、海賊よりも一足先に単身ラピ
ュタに上陸していた。
ラピュタの中枢部に侵入したムスカは、シータとともに帝国の復活を図ろ
うと企てるのだが ・・・・・・
さてラストは、パズーとシータの 「滅びの呪文」 により上層部の内大樹
に支えられた部分と巨大飛行石を残して崩壊したラピュタは、さらに高い
空へと飛び去って行った。
テレビ放映後、エンディングを見た子供たちから 「大気の無い宇宙でキツ
ネリス達はどうなるのか?」 という疑問が寄せられたが、ラピュタは宇宙空
間までは上昇しておらず、空気のある高度(成層圏)で飛び続けていると説
明された。
(※) 物語の舞台は「立憲君主国。 国王は登場しない」 とされており、後に
宮崎は舞台をイギリスのつもりで設定したと語っている。 実際、制作がはじま
る前の85年に宮崎は英国ウェールズをロケハンで訪れており、そこで見た風
景が作品に活かされている。
年代は劇中で明示されていないが、パズーの父親が撮ったラピュタの写真
には「1867.7」 と作品世界の暦による年代らしき数字が印字されている。
ちなみに小説版のエピローグでは、ラピュタでの一件のあと、パズーとシー
タは別々に暮らし、2人は文通をする仲になっている。
宮崎駿史 & 宮崎駿論 はこちら
http://perfect-news.blog.so-net.ne.jp/2013-09-20