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ガンダムと富野由悠季のイイはなし (中) [アニメ]

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 ・・・・・・ 長らく間があいてしまいましたが、(上)の続きです。

  富野さんは79年に「機動戦士ガンダム」 を制作します。

  ガンダムは、それまでのロボットアニメとは一線を画す内容持つエポッ
クメーキング的な作品で、1つの新しい潮流を作りました。

 その影響を受けて、以降のロボットアニメはガンダムの特徴を踏襲して
いくコトになります 。


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 ガンダムが提示した内容に関する新しい特徴というのは、「勧善懲悪」
の否定と、徹底したリアリズムということです。

 マジンガーZに始まり、ゲッターロボ、勇者ライディーンなどへとつづくそ
れまでのロボットアニメは、はじめから悪者と正義の味方がハッキリと分
かれています。

 毎回街を襲ってくる悪者ロボットを、主人公が操縦する正義の味方ロボ
ットが必殺技で退治するというパターンでした。 じつはこれはプロレスの
試合の運び方ををもとにしています。

 それに対してガンダムは、善と悪が相対化されています。 ジオンの方が
比較的ヒール的ですが、それでもお互いに理性的な人間同士です。

 ガンダムが登場するまでは、アニメの最高傑作といえば 「宇宙戦艦ヤマ
ト」 でした。 ほかと比べてアタマ1つ飛びぬけた特別でVIP的な作品。


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 テレビ放送から始まって大人気となり、その後に何本も映画が作られて
すべて大ヒットという、ガンダムと同じような存在でした。

 このヤマトの中にも、すでに善と悪を相対化する発想が含まれています。
ガミラス星のデスラーは、母星の寿命が尽きてしまうためにやむを得ず地
球を攻撃してきますが、じつは地球人と同様、母星と人々を愛する理性的
な存在です。

 さて、ガンダムが持つもうひとつの画期的な特徴、徹底したリアリズムは
どうでしょうか?


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 まず、大きなストーリーの枠組みが現実的です。

 時代はおそらく西暦2千数百年なのでしょう。 密閉型スペースコロニーと
いう発想が現実的ですし、そのうちの1つがあるイデオロギーにもとづいて
地球に独立戦争をしかける、しかしいかんせん地球連邦に比べて国力が
脆弱である、ただ、モビルスーツの技術にかけては先進性がある、しかしそ
の点についても国力にまさる地球にスグに追い抜かれてしまう、


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 また、電磁波を遮断するミノフスキー粒子の開発と普及によって、モビル
スーツによる戦いが一般化する、基本的に敵の新兵器の初めのうち分かな
いので 「木馬、白いの」 などという呼び方をする、

 人間が宇宙、つまり重力の影響を受けにくい環境に移住、適応していくこ
とで、その第2世代のころから少しづつ身体的な特徴が変化し始める、その
影響が脳に現れたものがニュータイプである、

 敵方(ジオン)の方が感覚的に新しいので、制服やモビルスーツのデザイ
ン性にすぐれている、モビルスーツだけではなくモビルアーマーというもの
も存在する、作業専用の旧ザクという発想、量産型のジムという発想、


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 ・・・・・・ これらのことがみなリアリティーがあるので、大人の鑑賞にも耐え
うるという特徴です。
 
 機動戦士ガンダムはこのような新しい特徴を持っていたため、初回オンエ
ア時には理解されず、はじめのうち視聴率で苦戦します。 そのために当初
全52話の予定であったところが43話に短縮られて最終回を迎えたというの
は有名な話です。

  しかし、オンエア終盤になると急激な人気上昇の兆しが見え始めて、期間
をおかずに連続するカタチでの続編の制作が決定されます。 「機動戦士Zガ
ンダム」 です。


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 作者の富野さんは、物語終盤の頃にはガンダムという作品について非常
に満足し、充実感を感じていたそうです。

 こういう場合、作家はそのあとにはゆっくりと休息をとりたいし、そうするの
が通例であるし、またクリエーターとして充分な休息が必要でもあるそうです。

 しかし、人気が出たということは巨大な利権が生まれたということであって、
富野さんの意志は無視されていきます。 つまり、その意思に反して続編の制
作を強制されるということです。

 それ以降はまさに悪夢だったと富野さんは言います。 人間の嫌な部分をす
べて見せられた。 普通の精神状態ではいられなくなり、自分の頭がだんだん
おかしくなっていくのが自分でもわかった。

 強制的な激務のなかで意識がもうろうとし、悪い夢の中にいたようで、あま
り正確には覚えていない。

 そのせいか、Zガンダムという作品は、どうも内容の焦点が定まっていませ
ん。 ストーリーがあっちに行ったりこっちに行ったり。

 中盤以降になってネオ・ジオンという新しい勢力が突然でてきたりで、物語
のトータル的なまとまりがなく、いかにもその場の思いつきでストーリーが進
行していく感じです。

 そして、極めつけはその終わり方です。 ファーストガンダムのように物語が
きちんと終了し大団円を迎えるという様子はまったくなく、最終回に至っても
物語としてははまだまだ途中であって、ただ時間が来たから、とにかく主人公
を殺して終わらせる、もうどうでもいい、というのがヒシヒシと伝わってきます。

 しかもラストシーンは、主人公カミイユの気が狂っておしまい、というまさに
狂気に満ちた分裂的な、あるいは子供じみた、作者の精神状態がそのまま
表れた終わり方。

 しかしそれでもなお、そのまた続編が作られます。 それが 「機動戦士ZZガ
ンダム」 (ダブルゼーダガンダム)です。 Zガンダムが、ファーストガンダムの
後光によって高い視聴率をキープしたためです。 これは富野さんが拒否した
ために作者を替えて作られました。


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 これ以降、富野さんは自分の中からガンダムを消し去ったといいます。 しか
し一方で、ガンダムのようなバケモノ作品を作ってしまった以上、以降の富野
さんはその呪縛に苦しみつづけます。

 なんとかしてガンダムを超える作品を作らなければ ・・・・・・


 (下) につづきます
http://perfect-news.blog.so-net.ne.jp/2013-09-23-2




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