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2013年7月 五条市の 「ゴミ屋敷」 元小学校教師を逮捕 ! ! [事件]

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 2013年7月1日、奈良県五條市の 「ゴミ屋敷」 家主で元小学校教師の
女性(63)が、ゴミを道路に放置し通行を妨害したとして、異例の逮捕とい
う結果となった。

 大量の不要品やゴミをため込んだり積み上げたりする 「ゴミ屋敷」 をめぐ
るトラブルは近年全国各地で発生し、周辺住民や自治体などを巻き込んで
社会問題化している。

 そんな中、奈良県五條市で、自宅前の道路に大量の家財道具などを積み
上げて通行を妨害したなどとして、奈良県警五條署が7月10日、道路法違
反の疑いで無職女性(63)を逮捕した。

 女性宅は5年ほど前から自宅前の道路も含めてゴミ屋敷化し、県警は異
例の逮捕に踏み切ったが、女性が釈放された後も自宅敷地内はごみに埋
もれたままだという。

 かつては小学校で教鞭もとっていたという女性が、なぜごみ屋敷をつくり
出したのか?

 専門家によると、ごみ屋敷の住人には生活を維持する意欲や能力を失う
「セルフ・ネグレクト」 という心理状態が多くみられるという。

 女性の自宅は、奈良県南西部に位置する五條市のJR和歌山線五条駅
にほど近い住宅街の一角にある。 建物は木造平屋建てで敷地は約20坪。
その室内から玄関の軒先まで家財道具であふれ返っており、遠目からでも
その異様さは際立つ。

 市や周辺住民らによると、女性は昨年から自宅に入り切らないパイプイス
やキャリーバッグ、傘、ペットボトルなどを自宅前の幅約1・8メートルの市道
に並べ始めたという。

 女性は 「道路は物を置くのに便利だった」 と話していたというが、荷物で
埋まった道路はもはや隙間が30cmほどしかなく、人一人がやっと通れる
ような状態にまでなっていたという。

 女性は数年前まで小学校で教員を務め、高齢の母親と近くの別の民家で
暮らしていた。 5年ほど前に母親は介護が必要になり、福祉施設に入所。
この頃から女性のごみ収集が始まった。

 ごみは瞬く間にあふれ返るようになり、女性宅の隣家で一人暮らしをしてい
た高齢女性は、はみ出してきたごみで自宅の出入りにも支障をきたすように
なったために転居を余儀なくされたほどだ。

 女性はその後、ごみのせいで家が手狭になったのか、今回の事件現場とな
った道路沿いの民家を新たに借りて転居した。

 軽乗用車を所有しているが、車内も運転席以外のスペースはすべて荷物で
埋められ、路上駐車を続けるなどの行為を繰り返したという。

 周辺住民はこれまでも道路の通行に危険を感じたため、女性にごみを片付
けるよう再三注意を促してきた。

 女性は、注意を受けても 「逆ギレ」 して強く抗議するような素振りこそ見せな
かったものの、状態が改善されることはなかった。

 このため、自治会は民生委員や行政・警察・消防などのあらゆる窓口に相
談や要望を続けてきた。

 市は昨年10月、自治会から女性への指導を求める陳情書を受け、職員が
数十回にわたり女性宅を訪問した。 その際に 「注意書」 を交付し、道路に物
を放置することが違法行為であることを伝えてきた。

 このうち3回ほどは女性も指導に従って職員とともに道路に放置していたゴミ
や家財道具を分別して片付けた。 しかし、毎回すぐに元の状態に戻ったという。

 五條署も道路の現状を確認するため、定期的なパトロールなどを続けていた。

 近くに住む61歳の男性は 「逮捕の前日に清掃を手伝ったが、昼に片付けて
も夜には元の状態に戻っていた」 と証言した。 「火事が起きないかと心配だが、
勝手に片付けて 『物がなくなった』 と言われても困る。 どうしたものか ・・・・・」
と頭を抱える。

 一方、近くの食料品販売店の女性従業員は 「女性が買い物に来た際には服
装の乱れは多少あったものの、話をする限りではおかしい様子はあまり感じな
かった」 と話し、「なぜ、あんな行為を続けるのだろうか」 と首をひねった。


 「ルポ ゴミ屋敷に棲む人々」 の著書である帝京大の岸恵美子教授は、今回
の事件について 「女性は公共の福祉を害しており、逮捕は必要だったと思う」
としながらも、逮捕することが根本的な解決にはならないと指摘する。

 岸教授は以前東京都内の自治体で、保健師としてごみ屋敷の問題に対処し
た経験がある。 そうした家主は、生活を維持する意欲や能力を失ってしまう
「セルフ・ネグレクト」 という心理状態に陥っているケースが多く見られたという。

 今回の女性について、岸教授は 「母親と離れた暮らしに空虚感を抱き、物を
集めることで心の穴を埋めようとしているのではないか」 と推測し、「そうした状
態を脱するためには新たな人間関係を築く必要がある」 とした。

 改善策として、「逮捕を受けて、住民が女性との距離をさらに広げることのな
いよう、行政の専門職が仲介役となって女性が支援を受け入れやすい環境づ
くりを進めていくべき」 と提案している。

 こうしたゴミ屋敷の問題は全国で後を絶たない。

 国土交通省が平成21年に全国の自治体に対して行ったアンケートでは、25
0市区町村でゴミ屋敷が確認されている。

 この問題の根深さは、法的にゴミの撤去が簡単ではないということだ。 例えば、
家主が敷地内のゴミの所有権を主張した場合には強制的な撤去は難しくなる。
このことが多くの自治体が対応に苦慮している理由となっている。

 こうした中で東京都足立区は昨年4月、全国で初めて、ゴミ屋敷問題に専門的
に対処する 「生活環境調整担当課」 を設置した。 今年1月には、区がゴミを強
制撤去できるとした条例も施行された。

 足立区によると、条例では、区がゴミ屋敷を確認した場合、悪臭や害虫の発生
など近隣への影響を調査し、家主を指導することができる。

 それでも改善されない場合には弁護士や医師などで作る審議会で対応を検討。
命令や事案の公表などを経て、強制撤去などの手続きに進むことができる。

 ただ、実際の運用面では家主の意思を尊重することにも心掛け、家主が撤去
費用を捻出できない場合には、区が100万円を上限に補助することができると
している。

 3月の審議会では、社会的に孤立したゴミ屋敷の家主に対する支援が決定され
た。 この家主は、区に生活保護申請の手続きを申請して転居した。 社会福祉協
議会の見守りを受け、生活再建を目指しているという。

 五條市でも、こうした自治体の先進事例について情報収集を進めている。

 担当職員は 「今回のケースを道路管理や福祉などの担当部署で横断的に協議
し、条例制定なども視野に入れて検討しなければならない」 としている。




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