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アントニオ猪木 ⑨  ~ 完結編 ~ [ニュース]

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 それではつづきです。

 アントンハイセルの失敗によって、17億円もの負債を背負ってしま
った猪木。 猪木、新間氏(※)による会社資金流用に対して社内では
クーデター起こります。

 そしてさらに、負債のコトも一つの原因となって、倍賞美津子さんと
も離婚ということになってしまいました。

 また、このような状況に嫌気がさして、人気絶頂だったタイガーマス
クが新日本を去ってしまします。

 さらにその後、長州力のグループも新日本から独立して会社を興し、
ライバル団体であるG馬場の全日本プロレスに戦いの場を移してしま
います。

 まさにどん底の猪木。

 それでも猪木は新日本のメインイベンターとして、試合をしなければ
なりません。

 猪木はリング上で 「テメーら、どいつもこいつも、チクショー ! ! でき
るもんならオレの首をかっ切ってみやがれ ! ! 」 と叫びます。

 この頃はプロレスの流れとしても世代交代の時期で、リング上の戦い
は 「猪木 vs 下の世代を中心とした他の選手たち」 という図式で、猪木
包囲網がしかれていました。 猪木の言うとおり、誰もが猪木の首を狙っ
ていました。

 一方、会社の中でも周りから総攻撃を受けている猪木。

 プロレスというのは面白いもので、リング上の戦いの意味とリアルの部
分の状況がシンクロするということが起こります。 このときの猪木はまさ
にそうで、しかも当時は熱心なファンが多く、雑誌などを読んで新日本の
会社までも把握していましたから、アントニオ猪木が魅せる虚と実が入り
混じった戦いは見ていて面白かっただろうと思います。


 ・・・・・・ それでは話を参議院議員時代に戻して、

 湾岸戦争時の、イラクによる日本人人質の解放という議員としての活
躍を見せた翌年、東京都知事選挙が行われました。

 選挙には、この選挙のためにNHKを退社した大物アナウンサーの磯
村尚徳(ひさのり)氏が自民党の公認候補として出馬することが決まりま
した。

 すると、それを知った猪木は自らもこの都知事選に立候補する意思を
表明することになったのですが、この立候補は何か唐突な感じで、見て
いる方からすると少し違和感があるもでした。

 じつは猪木のこの立候補には、ある深い訳があるのです。

 覚えているでしょうか? この文章の中、1976年アントニオ猪木がモハ
メド・アリとの試合を行った日の夜、当時の代表的な報道番組であるNHK
の 「ニュースセンター9時」 という番組で、アナウンサーが 「NHKがこのよ
うなコトをお伝えするのもどうかと思われますが、今日の昼に日本武道館
で行われたモハメド・アリ対アントニオ猪木の試合は、予定通り引き分けと
いう結果に終わりました。 それでは次のニュースです ・・・・・」

 その時、アナウンサーの背後のモニターには 「世紀の凡戦」 という文字
が映し出されていた。

 という部分です。

 この時のこのアナウンサーが磯村尚徳氏だったのです。 猪木は、この
恨みを忘れてはいませんでした。 これを晴らすために猪木は、都知事選
において、自分の当選はともかく、なんとしても磯村氏を落選させるべく立
候補を決めたワケです。

 有権者の方にも、“猪木に都政がこなせるのか?” という疑問が若干あ
ったので、当選への期待はあまりなかったと思いますが、それでも当時の
猪木はいまだ知名度も高く人気もあったので、充分に選挙をかき回す存在
にはなったと思われます。

 ところがおよそ1週間後、猪木は一転して 「イロイロ考えた結果、立候補
するのはやっぱりやめることにしました。 エヘへへ」 というような会見を再
び開きます。 その様子は、“心ここにあらず”というふうで、ナゼかとても嬉
しそうな感じでした。

 見ている方からすると、これはもう明らかに不自然でした。“何かウラで取
引があったんだな” というのがすぐにわかるという感じ。

 このとき、ウラではこういうコトが起きていました。

 猪木の真意を悟った自民党幹部(小沢さんだったと思います)と猪木の会
談が行われ、 猪木が立候補を取りやめるかわりに、猪木が背負う17億円
の負債を東京佐川急便が引き受けるという密約が交わされました。

 猪木の会社アントンハイセルを佐川急便が買い取り、その負債を佐川内
部の赤字として徐々に償却していくことになったというコトです。

 そのあと猪木は新間氏にこう言ったといいます。 「イヤ~ 新間、政治って
のはスゲエなぁ。 たったこれだけのコトで17億がチャラになっちゃうんだか
らなぁ~」 出馬撤回後の猪木はしばらくの間ニコニコ顔が止まらなかったと
いいます。


 しかし、イイことばかりは続きません。

 参議院議員任期満了の年、マスコミによって猪木のスキャンダルが巻き起
こります。 このスキャンダルは、ある週刊誌に猪木事務所で会計を担当して
いた女性が猪木議員のさまざまな不正、政治資金の流用や不正な会計処理、
脱税の疑惑などを告発した記事が掲載されたことに端を発し、その後テレビ
のニュースやワイドショーなどで連日報道されるというところにまで発展してい
きました。

 バッシングを浴びる猪木は、ワードショーに出演したり記者会見を開くだどし
て釈明しますが、その説明は要領を得ず、とくに記者会見においては逆ギレ
するシーンまで見せてしまい、そのイメージは地に落ちてしまいました。

 この時点で、次期の当選はなくなったといえます。 一応の立候補は行いま
すが当然に落選します。


 こうして普通の人に戻った猪木は、以降再びプロレスの世界に戻っていき
ます。 この頃の猪木は、いまだ新日本プロレスの株の51%を所有する筆頭
株主兼オーナーという立場でした。 この力を背景に、このあとの猪木はプロ
レス界にさまざまな影響を及ぼし、それによってプロレス界全体が翻弄され
つづけるととになっていきます。

 99年に東京ドームで引退興行を行った猪木は、その後柔道王小川直哉を
弟子にとり、自らの団体UFOを旗揚げしますが、団体は人気が出ずに失敗。

 そのあとは新日本に舞い戻り、社長を坂口から藤波に交代させ、さらに現場
監督兼マッチメーカーであった長州をその地位から降ろし、退社に追い込みま
す。 また、小川に指令を出して橋本真也にセメントを仕掛けさせて、新日本の
強さの象徴であった橋本を潰し、団体を混乱に陥れます。

 その後格闘技人気が台頭してくると、新日本の選手をプライドなどに出場さ
せたり、プロレスのリングに格闘技的な要素を取り入れたりしますが、猪木が
とるそれらの方針は評価されず、逆に批判を浴びることになってしまいます。

 そしてこの頃、もっと深いところでは、プロレス自体の人気が急速に落ち続け
るという事態が進行していました。

 2002年、決して世に出してはいけなかった1冊の本が出版されます。

 新日本プロレスで長くメインレフリーを務めたミスター高橋の 「流血の真実、
最強の演技」 という破壊的な本。

 プロレスがダメになってしまったコトについては、いくつかの要因が挙げられ
ています。 プロレスラーが格闘技の試合で負け続けたこと。 新日本が実質分
裂してしまったこと。 馬場・猪木の時代が完全に終わったこと ・・・・・

 しかし僕に言わせれば、これらはほとんど関係ありません。 やはり原因は1
つ、高橋本なのです。

 この本によって、戦後60年以上にもわたって人気を誇ってきた、プロレスとい
う1つの日本の文化が完全に破壊されてしまったのです。 そしてその後、プロレ
スのライバルであったはずの格闘技までもが消滅してしまいました。

 さらにまったく同じ時期、もうひとつの戦後の日本文化であったプロ野球まで
もが消えてなくなってしまいました。

 現在の、“肉がまったく入っていない酢豚” みたいになってしまった日本の野球
は、もはや従来と同じモノではありません。

 日常の関心ゴトとして大きな部分を占めていた、それについて考えるだけでも
楽しいという存在であった2つの観戦スポーツが、ほぼ同時に消えてなくなってし
まいました。

 一体どうしてこんなことになってしまったのか?

 ・・・・・・ ただ巨大な喪失感が残るかぎりです。


 その後猪木は新日本プロレスの株を売り渡し、再び I G F という自らの団体を
立ち上げました。 しかしその方向性は定まらずに、リングの上の戦いもいまいち
中途半端です。

 もうムリなのです。 この期に及んで格闘技チックな試合を見せたとしても、見る
ものの心を躍らせるのはムリなのです。 しかし、そのことはきっと猪木自身がい
ちばんよくわかっているのだと思います。

 だけれども、どうしようもない。

 というコトなのでしょう。

 ということは、やはり猪木には当選してもらうのがいちばん。 それ以外に猪木が
救われる方法はないと思います。

 ムチャクチャな人ですが、もうイイ年なのでそんなに悪いこともしないと思います。
ですから、できれば当選させてあげてください。

 どうか皆さんよろしくお願いします。




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