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日本ドラマ30年史 vol.3 [テレビドラマ]

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 それでは続きです。 前回は、1970年代以降のTBSドラマについてお
話ししました。 今回は、同じ頃の日本テレビのドラマについて。

 日テレは従来、刑事モノや青春モノに強いという印象がありました。 そ
れから、どちらかというと1クール・2クールのドラマではなくて、数年以上
の長期にわたって放送されるドラマが多いという特徴があります。

 これは言い換えると、TBSのドラマが 「文学作品的」 であるのに対して、
日テレのドラマは 「テレビ的、庶民的」 であるという言い方ができると思い
ます。 実際、この頃の日テレの1クール・2クールドラマで印象に残るもの
はほとんどなく、有名ドラマはほぼすべて長期モノだといえます。

 長期ドラマの特徴というのはまず、これは逆説的ですが、長期に及ぶス
トーリーが存在しないということです。 「作品的ではない」 というのはそう
いう意味でもあります。

 これは結局、作品的なドラマとはちがって、金太郎飴のように、いつでも、
どの時点から見始めても楽しむことができるということを意味します。作品
的ドラマのように、第1話・2話あたりから見ないと充分に楽しめないという
ことはありません。

 また、TBSと日テレのドラマを比べた場合、TBSの方は映像にこだわっ
たり画面の美しさを追及するといった芸術的傾向があるのに対して、日テ
レの方はあまりそういう部分が見られないということがいえると思います。

 日テレドラマも一応そういう部分も気にはしているのでしょうが、あまりセ
ンスが感じられないというか。

 これは、90年代半ば、ほとんど同じ時期に放送された、野島伸二の「高
校教師」(TBS)と「家なき子」(日テレ)を見比べるとよくわかります。 「高
校教師」は、映像がとても美しいドラマでした。 毎回のドラマのオープニン
グはとくに美しかった。 使われいる音楽も登場人物もみんな美しかった

 それに対して、「家なき子」にはあまりそういうところは見られず、中島み
ゆきの主題歌も、なにか庶民的な雰囲気を醸しだしていたと思います。

 ここで具体例を挙げると、「太陽にほえろ」 「われら青春」 「ゆうひが丘
の総理大臣」 「傷だらけの天使」 「大都会」 「探偵物語」「俺たちは天使だ」
「池中玄太80キロ」 「熱中時代」 「あぶない刑事」 「西遊記」 などなど。

 TBSと比較すると、有名作品の数自体は少ないですが、ここに挙げたド
ラマはいずれも長年にわたって放送されてものばかりであり、1クール・2
クールドラマと比べるとその存在感は非常に大きいものがありました。 そ
れぞれに「一時代を作った」 という感じがあります。

 僕個人としては、やはり松田優作の「探偵物語」などは最高だったと思い
ます。 松田優作というのは全身のシルエットが普通の人間とはちがってい
て、アニメのルパンのような体型をしているので、何をやっても画面の中で
絵になるというか、特殊な雰囲気を醸し出していました。

 アイドル的な感じや、現在のモデル出身の俳優のような 「イケメン」 的な
魅力とはまったく違い、“ほんとうのプロの役者” というオーラを持っていま
したね。

 かつて 「ハードボイルド」 というジャンルがあったのですが、今になって
考えてみると、やはりこのジャンルは松田優作が1人で担っていたという面
があると思います。 古尾谷雅人など、松田以外にもこのジャンルに挑戦し
た役者は何人もいますが、サマになっていた人はいないと思います。

 高倉健さんが「ゴルゴ13」を演じたことがありますが、やっぱりちょっと滑
稽でしたね。 現在ハードボイルドを作るとしたら、阿部寛さんあたりが候補
に挙がるのでしょうか?

 これは映画ですが、松田優作主演の「野獣死すべし」「蘇る金狼」を見た
ことがない方はぜひ一度ご覧になってみてください。


 ・・・・・・ さて、ここまでは主にTBSと日本テレビのドラマについてお話し
してきましたが、この時代、フジとテレ朝についてはあまり語るべき部分が
ありません。

 この時代のフジの有名ドラマは前回挙げたので、テレ朝の有名なドラマ
も挙げておきますと、「西部警察」 「必殺仕事人」 シリーズ、それから 「特
捜最前線」というちょっと暗めの刑事ドラマがありましたが、このくらいだと
思います。

 それに、「西部警察」 というのはテレ朝のドラマというよりもむしろ石原プ
ロの作品という面が強く、「必殺仕事人」シリーズにしても、大阪朝日放送
制作のドラマです。

 このように、テレビドラマというジャンルにおいて昭和末期の頃までは、質
量ともにTBSが単独トップ、すこし遅れて日本テレビ、その他もろもろ ・・・・
という感じでした。

 これは自動車業界の、トヨタが単独トップ(45%)、すこし遅れて日産(25
%)、のこりの3割をホンダ、三菱、マツダなどが分け合っているという状態
に近いかもしれません。

 ちなみに、東京12チャンネル(現テレビ東京)にも一つだけ 「プレイガー
ル」 という印象に残るドラマがありました。 これは 「バイオ二ック・ジェミー」
の超お色気版という感じのドラマで、ミニスカートでのアクションシーンなど
が売りになっていました。


 ・・・・・・ その後、80年代半ばになると、世の中の雰囲気はそれ以前とは
大きく様変わりしていきます。 一つにはバブルの影響もあったと思いますが、
その他にもイロイロな要素が加わって、日本の文化が新しい時代にへと変化
していくのです。

 フジテレビは、この新しい潮流に乗っかって、いわば 「デビュー」 すること
になるのですが、そのお話は、次回 vol.4 で 。




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