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ジャミラ [テレビ]

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 「ジャミラ」 とは、ウルトラマン第23話 『故郷は地球』 に出てくる怪獣のことで
ある。 この23話は、とても哀しいお話だ。

 当時は各国が宇宙開発競争をしている時代であり、ジャミラはフランスが打ち
上げた宇宙船に乗っていた宇宙飛行士であった。 ジャミラの乗った宇宙船は事
故によって水のない惑星に不時着してしまうが、国際批判を恐れた母国は事実
を隠蔽し、ジャミラたちを見殺しにすることに ・・・・・

 やがてジャミラは自らの手で宇宙船を修理・改造して、自分たちを見捨てた者
たちに復讐するため、地球に戻ってきた。

 ジャミラは自由に姿を消すことができる宇宙船を操り、地球要人が乗る旅客機を
次々に墜落させるなどの攻撃を繰り返したが、科学特捜隊に宇宙船を破壊され、
ついにその姿をあらわした。

 水のない星に長くいたたために、もとは人間であったジャミラの容貌は醜い姿に
変わってしまっていた。 皮膚は粘土質で固くなり、火器による攻撃にも耐えたが、
逆に、ずっと接触することのなかった「水」が最大の弱点になっていた。

 科特隊は出動にあたって、「ジャミラがもとは人間であったという事実は一切公表
せず、あくまでも 『怪獣』 として葬り去れ」 という命令をパリから受けていた。

 はじめ、科特隊による「人工降雨弾」による攻撃が行われたが、ジャミラを倒すま
でにはいたらず、最後はウルトラマンの「ウルトラ水流」によって倒された。

 この、ジャミラが死んでいくさまは、ほかの怪獣たちが最後に倒されて死んでいく
場面とはまったく雰囲気が違い、非常に悲壮感があふれるシーンであった。

 国連の国際会議場の前で、ウルトラマンが手から放水を始め(ウルトラ水流)、
ジャミラに水を浴びせ続けるのだが、断末魔のジャミラは、人間の赤ん坊の泣き声
そっくりの悲鳴をあげ、万国旗を踏みつぶしながら、長い間苦しんで果てていった。

 最後は、科特隊がジャミラの遺体を埋葬し、墓標を立てるのだが、イデ隊員は「こ
の墓標は、犠牲者ジャミラに対する人間のエゴにすぎない」 と心情を吐露した。


 ・・・・・・・ 以上が、ジャミラのストーリーです。 怪獣ジャミラというのは、とても「醜くい
姿」をした怪獣ですが、これは、もとは人間であったという哀しい事実を強調するため
だと思われます。

 ちなみに、ジャミラという名前は「ジャミラ・ブバーシャ」 というアルジェリアの独立運
動家から頂いたものだそうです。

 ジャミラが死んでいくときの断末魔の叫び声には、実際に人間の赤ん坊の鳴き声を
加工したものが使われたようです。

 さて次に、制作や番組放送に関して説明します。 昭和41年、TBSは当時世界的に
有名であった東宝の円谷英二監督に企画を持ちこみ、1年の製作期間と破格の予算
を投入し、本格的特撮ドラマ 『ウルトラQ』 を製作・放送しました。 この作品は、今まで
は映画館でしか見ることができなかった本格的な特撮や怪獣をお茶の間に登場させ
て一大ブームを巻き起こすことになります。

 この「怪獣ブーム」の中、TBSは番組枠のシリーズ化を決定。 『ウルトラマン』 第1
話の前週には、杉並公会堂での公開番組 『ウルトラマン前夜祭』 を放送するなど、
世間的にもかなり盛り上がっていたようです。

 『ウルトラマン』 は全39話。最高平均視聴は42%を記録しました。 この初代 『ウル
トラマン』 から始まる 「ウルトラマンシリーズ」 はとても人気が高く、6作目にあたる 『ウ
ルトラマン・レオ』 に至るまで連続して放送されました。 ウルトラマンはその後も、断続
的に放送され、21世紀の現在にまでそのシリーズは続いています。

 その特徴として、子供向けの番組でありながらも、毎回の脚本はとてもレベルの高い
もが選ばれ、それはこのジャミラの回にもあらわれていると思われます。 脚本のレベル
の高さといえば、アメリカの伝統的なSF番組 『スタートレック』 シリーズにも言えること
で、同番組では、毎回質の高い人間ドラマが展開されています。現在では、スタートレッ
クの脚本を書かせてもらえるというのが、米の脚本家にとって一種のステータスにもなっ
ているようです。

 ジャミラが登場した1967年は、まさに冷戦真っ只中であり、両陣営が現実に宇宙開
発競争をしていた時代だったワケですから、このジャミラのお話は、当時においてはよ
り大きなインパクトがあったと思われます。

 
 『ウルトラマン』 の中にはときどき、このジャミラのように悪者ではない怪獣が登場しま
す。ジャミラのように人間にひどい仕打ちをうけた怪獣、自分の意思とは関係なく地球に
やって来てしまった怪獣。 暴れるつもりのまったくない怪獣。

 しかし、図体がデカすぎる彼らをそのまま放っておくワケにはにいきません。 そこでウ
ルトラマンの登場となワケですが、こういう場合、ウルトラマンとしても、彼らを悪者怪獣
と同じようにただ殺してしまうわけにもいかず、精神的な葛藤を見せます。

 こういう怪獣たちの存在が、『ウルトラマン』 シリーズを豊かで奥深いものにしていたと
言えるでしょう。

 初代 『ウルトラマン』 でいうと、「怪獣墓場」のシーボーズや 「空からの贈り物」のスカ
イドンなどがそれにあたると思いますので、みなさんも、あらためて見直してみてはいか
がですか?




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